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3-6 体罰

last update Date de publication: 2025-10-02 22:21:17

「本当に素敵な部屋ね」

ジェニファーは窓の外に目を移すと『ボニート』の美しい名峰を眺めることが出来る。

「ジェニーも『ボニート』の山が好きだったわね……」

ポツリと呟いた時。

――コンコン

部屋にノックの音が響いた。

「誰かしら?」

訝しげに扉を開けると、現れたのは執事長のカルロスだった。彼の足元にはジェニファーの荷物がある。

「ジェニファー様、お荷物を運んで参りました」

「わざわざ運んでいただき、ありがとうございます」

「中に入ってもよろしいでしょうか?」

「ええ、どうぞ」

笑顔で返事をするとカルロスは荷物を部屋に運び入れ、神妙な顔つきでジェニファーを見つめる。

「あの……何か?」

「ジェニファー様、大変申し訳ございませんでした」

カルロスは謝罪の言葉を述べ、頭を深々と下げた。

「え? 一体何のことですか?」

何のことか分からず尋ねると、カルロスは顔を上げる。

「シドから話を聞きました。つい先ほど、メイドがジェニファー様に大変失礼な態度を取ったそうですね。そのメイドには罰を与えることにしましたので、どうか我々の不手際をお許しいただけないでしょうか?」

その言葉にジェニファーは驚いた
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  • 望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした   8-19 ジェニファーのお願い

     目が覚めたばかりの伯爵を、あまり疲れさせてはいけないと思ったジェニファーは病室を退散することにした。「叔父様、又明日も明後日も毎日お見舞いに来ますね」「え……?」伯爵の顔に戸惑いが浮かび、ジェニファーが焦った様子で尋ねた。「どうかしたのですか? どこか具合の悪いところでもあるのですか?」「い、いや……。大丈夫だ……。ただ、毎日……見舞いに来るという話に……驚いただけだ」「駄目でしょうか……?」悲しげな表情を浮かべるジェニファー。「駄目という訳では無いが……ジェニファーにはニコラスがいるだろう? ……今は彼の妻であり……ジョナサンの母親……なのだから……」「確かにそうですが私にとって、たったひとりきりですから」「!」伯爵が驚いた様子でジェニファーを見つめる。「お願いです。叔父様が元気になるまでは、毎日面会させてください。私がニコラスに出会えたのも叔父様が『ボニート』に連れて来てくれたからです。そうでなければ……きっと私は今もずっとあの家を出ること無く、大切な人に出会うことも無く終わっていたと思います」「ジェニファー……」「私は……自分の勝手な都合で……ジェニファーを連れだしたんだぞ? 身体の弱い娘の面倒と……話し相手にさせる為に……。それにジェニーが喘息の発作で死にかけた時……傍に居なかったという理由で、酷い言葉をぶつけたのに……か?」「でもそれは叔父様が怒るのは当然です。ジェニーが苦しんでいた時、私が側にいなかったのは事実ですから」ジェニファーは首を振って、伯爵の言葉を否定した。「だが……」「それとも迷惑でしょうか……?」「まさか……迷惑なはず無いだろう。……ありがとう、ジェニファー」伯爵は弱々しくも、笑みを浮かべた。「はい、また。叔父様」ジェニファーは会釈すると、病室を後にした――****「それで伯爵の様子はどうだった?」病室に戻ってきたジェニファーに、ニコラスは尋ねた。「目が覚めたばかりで、弱々しかったけれど話が出来たわ。……本当に良かった。それでお願いがあるの」「どんなお願いだ?」「明日からも毎日、叔父様のお見舞いをさせて貰いたいの。……出来れば退院するまでの間」「え……? それは、もしかして『ボニート』に残るということか?」ニコラスの顔に怪訝そうな表情が浮かぶ。イボンヌの件が片付いたこともあり

  • 望まれない結婚〜相手は前妻を忘れられない初恋の人でした   8-18 伯爵とジェニファー

    「伯爵がどうしたのですか!?」ニコラスが尋ねた。ジェニファーは小刻みに震えたまま、声を出すことも出来ない。「意識を取り戻したのです! それで連絡に来ました」「本当ですか!? お願いです、会わせて貰えませんか? 私にとって、たった一人きりの叔父様なのです!」「ええ、勿論です」懇願するジェニファーに、看護婦は頷いた。「ニコラス……」次にジェニファーはニコラスを振り返る。「俺なら大丈夫だから、行ってくるといい」「ありがとう……!」ジェニファーは笑顔で礼を述べると、急ぎ足で伯爵のいる病室へ向かった。**入院している病室へ向かうと、廊下の窓から伯爵の脈を測る医師と付き添う看護婦の姿が見えた。「失礼します……」遠慮がちに病室に入ると、男性医師と看護婦が振り返った。「あの、フォルクマン伯爵は……」すると医師が笑顔になる。「フォルクマン伯爵の姪子さんですね?」「はい、そうです」「まだ意識が戻ったばかりですが、どうぞ。我々は一旦席を外しますから」「ありがとうございます」部屋を出て行く医師と看護婦に礼を述べると、ジェニファーは恐る恐るベッドに近付いた。「……」ベッドに横たわる伯爵はいつもと変わらず目を閉じている。「……叔父様?」恐る恐る声をかけると、伯爵は薄目を開けた。「ジェニ……ファーか……?」「はい、そうです。叔父様……」ジェニファーは傍らに置かれた椅子に座ると、目に涙を浮かべた。「こんな私のことを……叔父様と、呼ぶのか……? 今迄散々……辛く当たってきた……のに」「駄目…‥‥でしたか?」「まさか。そんなはず……無いだろう。ジェニファーは……血を分けた……ただ一人残された親戚……なのだから……」伯爵はジェニファーを見つめる。「叔父様……どうして……私なんかを庇ったりしたのですか? そのせいで……死にかける程の大怪我を……」最後の方は言葉にならなかった。「……さっき、話した通りだ……たった一人の姪で……弟の子供だから……だ」そして弱々しく笑った。「叔父様……」ボロボロ泣くジェニファーに伯爵は語った。「私は……ずっと……夢を見ていた……気付けば、何処かも分からない真っ暗な場所に立っていて……遠くで子供の泣き声が聞こえてきて……近付いてみると……」そこで一度、言葉を切る。「それは……まだ子供の頃のジェ

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    「伯爵の話だと、ジェニファーはジェニーにそっくりだそうじゃないか。結婚式でしか会ったことが無いけれど、ものすごい美女だったからな。亡くなってしまったと聞いた時は、実に勿体ないと思ったよ。でも兄上もやるな~今度はジェニーの従姉妹を後妻にするのだから。伯爵はジェニファーのことを金に眼が眩んだ悪女だと言っていたけれども……ん? どうしたシド。随分恐ろしい目で睨みつけてくるじゃないか」シドの鋭い眼差しに怯むことなく、のんびりと膝を組むパトリック。「ジェニファー様は伯爵が言うような、悪女なんかではありません。亡くなった相手をどうこう言うのは気が引けますが、俺から言わせるとむしろ悪女はジェニー様の方

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